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BECAUSE THE INTERNET SCREEN PLAY PART 4-2
 TO ” Ⅲ. Urn “


【室内・ジェット機・夕方】

ボーイは頭を飛行機の窓につけて寝ている。窓ガラスは髪についた整髪料でベトベトになっている。
彼の父がストックホルムで亡くなった。家族の誰かが行く必要があった。
その知らせが来るまで、彼らは自分たちが唯一の血の繋がった家族であることに気づいていなかった。
肉親を失った時、大半の人は記憶の大部分を失ったことになる。少なくとも記憶の正確性は失われる。

父親は火葬を希望していた。

ボーイはストックホルムに誰一人知人がいなかった。
しかし、父親と一日中ホテルの部屋にいるのが嫌なようだ。たとえ父の姿が灰になっていたとしても。
そのため、彼はスウェーデン出身のフォロワーを探すことにした。

” Hello_Pity_ “という名前の女の子がDMを送ってきた。ボーイはやるべきことを全て終えたら、その彼女と会う約束をした。
彼女のプロフィールには「フランスとのハーフ」だと書かれている。
プロフィール画像には可愛らしい反転したハロー・キティの写真が。でもそんなものは何の意味もない。というのも、彼女のインスタグラムが凍結されているからだ。それを見たとき、彼は「全く信用しない」ということを胸に刻んだ。

その後、ボーイは彼女のツイートに目を通し始めると、彼女がクラブに出かけた夜の投稿を見つけたようだ。
彼は数あるダミーのアカウントのうち、一つを使って、彼女にその日の夜にあった男のフリをする。
彼女はどうせ覚えていないだろう。彼女の「ファッキン酔っ払った [クレイジーに下を出す絵文字] (笑) 」という投稿を見ればわかる。彼女は彼が作った偽アカウントをFacebookで友達として承認した。
これでボーイは彼女の写真を見ることができる。

その後に見た写真で確信した、彼女は実際に可愛いかった。

この女の子はジャスティン・ビーバーが好きなようだ。それも「新しいジャスティン・ビーバー」だ。
「” ファッキュー “な時期のビーバー」のファンなのだろう。
「好きなアイスの種類はチンコよ!」なんて言うMauryに出てる女の子のように、ジャスティン・ビーバーに恋い焦がれている。その思いは” 誠実な愛 “にも似ている。近いがどこか違うものだ。

 

 

【室内・見知らぬオフィス・夜】

ボーイは一人の厳粛な様子の男を前にデスクに座っている。骨壺が彼の左側に置いてある。
男がボーイにこう語りかける。

 

SOLEMN MAN (厳粛な様子の男) : お悔やみ申し上げます。

 

沈黙。

 

「お父様を火葬する前に、誰かに連絡しますか?家族の状況がわからないもので」

 

SOLEMN MAN (続けて) : こちらはお父様の遺品です。

彼はボーイに大きな茶色の紙袋を手渡す。

 

 

【室内・ホテルの部屋・夜】

ボーイはベッドの足元でベイプを吹かしている。
彼は” Hello_Pity_ “とDMをやりとりしている。彼女の本名はアリッサだそうだ。

 

thegoldmolar: どこにいるの?
(Thegoldmolar = ボーイの偽アカウントの名前)

Hello_Pity_: box って名前のバーよ。ここで会える?

thegoldmolar: いいね。

Hello_Pity_: 私の彼氏にも会うでしょ。あなたのこと好きだって。

 

 

気まずい空気が流れる

 

 

thegoldmolar: もちろんさ…

Hello_Pity_: [泣きながら笑う絵文字] 笑。心配しないで、そんな感じじゃないから。

thegoldmolar: どういう意味だい?

Hello_Pity_: [クレイジーに舌を出す絵文字] じゃあまたね。

 

 

彼は携帯をスリープにする。

 

 

【外・ストックホルムの路上・夜】

街は活気に溢れている。ストリートには美しい人々が手を組んで歩いている。
人々はそれぞれ色々なことを喋ったり、感想を言い合ったり、興奮をその身で感じている。
今夜は誰しもが目的を持っている。素晴らしい時間だ。

通りすがりのカップル:

 

超ハンサムな男 : (スウェーデン語で) なんとかなんとか、” roscoe’s wetsuit “さ。 ハハハハハ!

超可愛い女 : なんとかなんとか。 (スウェーデン語で) なんとかなんとか、” roscoe’s wetsuit “ね。ハハハハハ!

 

ボーイはピンクに輝く、控えめな” box “と書かれたネオンの看板を目がけ歩いていく。
ハゲの大男が帽子も被らずに入り口に立っている。頭からは蒸気が立ち上っている。
店の外で女がタバコを吸っている。もしくはタバコを吸おうしている。ライターを持っていないようだ。
それがアリッサだった。

 

THE BOY: ヘイ

ALYSSA: あぁ!あなたね!

 

彼女は彼の両頬にキスをする。

 

ALYSSA (続けて): こんな風に出会うなんて夢みたいじゃない?

THE BOY: どういう意味だい。

 

大きく2回煙を吸い込んだ後、彼女はタバコをしまう。

 

ALYSSA: 行きましょ。

THE BOY: 君の彼氏と会うんじゃなかったのかい?

ALYSSA: 誰?あの男?

 

彼女は入り口から少し入った、建物の隅を指差す。
長い金髪の男性 (彼女のボーイフレンド?) が寒い中、女とイチャついている。

 

THE BOY: 俺、なんか余計なことに首を突っ込んでる?

ALYSSA: そんなことないわ。別になんでもない。

 

時は経って》

 

【外・ストックホルムの路上・その後】

ボーイとアリッサはゆっくり通りを歩いている。外は凍てつくほど寒い。
確かに外を歩いているのは彼らぐらいだ。

 

ALYSSA: なんでDMくれたの?

THE BOY: この辺の人は誰も知らないから。

ALYSSA: なんでこんなところまで来たの?

THE BOY: 父親が死んだんだ。迎えに来ないと行けなくてさ。

ALYSSA: それは残念ね… 大丈夫なの?

THE BOY: 今のところ大丈夫だね。

ALYSSA: そうよね。人が亡くなると皆決まって「どうして死んだんだ?」なんて聞くけど、それを聞けば生き返るの?って感じよ。バカバカしいわ。

 

彼女は寒さで震える。

 

 

ALYSSA (続けて): もっとじっくり話したいわ。今までで一番長く付き合ったのは?

THE BOY: 5年だな。

ALYSSA: すごい。何があったの?

THE BOY: まだ進行中だけど。

ALYSSA: そうなの?

THE BOY: 彼女はプライペードにウェブ・ショーをやってるんだ。一緒にはいないけど、付き合ってるんだ。間違いないね。

ALYSSA: ごめん、よくわからない。

THE BOY: 前まではネットで彼女を見てるだけだった。でも彼女それを辞めて、俺にだけプライベート・ショーをやってくれるんだ。
そこから会話もできるようになったし。

ALYSSA: うわー….

THE BOY: 何?

ALYSSA: あなた、その彼女と、恋人だか、友達だか何かになるため、お金払ってるってことでしょ?

THE BOY: そうさ。でも大体の人が友達に何かしら金を払ってるだろ。

ALYSSA: そんなわけないじゃない。

THE BOY: 君の彼氏だって他の女とヤってるじゃないか。君にジャッジする権利はないだろ。

ALYSSA: 彼を信用できる人なんて思ったことないから。二人ともわかってるし。

THE BOY: じゃあ一体なんで、そこまでして彼と付き合うんだい?

ALYSSA: 彼が正直だからよ。私はそこが好きなの。彼は二人に嘘をついてない。そこに惹かれてるのよ。

 

 

【室内・ホテルの部屋・夜】

[VISUAL]

 

 

二人はベッドに座り、テーブルに置いた骨壺を見つめる。

ALYSSA: じゃあこれがお父さんなのね。

THE BOY: そうだよ、父さんだ。亡骸だよ。

ALYSSA: 仲良かったの?

THE BOY: いや。

ALYSSA: この話続けたい?

THE BOY: いや。

 

沈黙

 

 

THE BOY (続けて): 飲み物作ってくるよ。

ALYSSA: うん。

 

ボーイは起き上がって、リビングへ入っていく。彼がそこにいる間に、アリッサが腰を上げ、骨壺を持ち上げる。そして部屋を出ていく。ボーイはドアが閉まる音を聞いた。

 

THE BOY: アリッサ?

 

時は経って》

 

*******[ここで ” URN ” を再生]*******


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