彼のキャリアのスタートは早くない。バスケットボールのプレイヤーとして大学まで(23歳)を過ごした後、本格的に音楽制作を始め、2015年〜2016年の間にミックステープ『In The Meantime』『The Free Album』『The Proof』の3作をリリース、2017年にはスタジオ・アルバム『There You Have It』をリリースしてきた。このデビュー・プロジェクト、そしてそのリリース・ライブがきっかけとなりTDEと契約を果たすことになる。
ヒューストン郊外出身の18歳のラッパーはデビュー・ミックステープ『CHASE』を昨年5月にリリースしたばかり。その声のトーン、シャープなリリシズムからJ.コールとも比較される青年はYoutube、SoundCloudを中心に大きな話題を生んでいる。(” LET GO “のMVはYoutubeにて470万回再生)
“ 俺たちの街では、誰とも似つかないアーティストたちが沢山いるんだ。けど、みんな自分自身に正直なんだよ。それを見て、俺は自分自身が変わらなくても良いと気づけた。Saba, Noname, Sminoを見れば、そのサウンドは際立ってる。そういうのを見て勇気付けられてるよ。自分自身の全てが気に入っていなくても、全てをさらけ出せば上手くいくと思うから。– Chicago Tribune ”
Baby Keem
ラス・ベガス出身、未だ19歳の若き才能Baby Keem。
TDE(Top Dawg Entertainment)のメンバーとの交友も深く、2018年にリリースされたジェイ・ロック『Redemption』や『Black Panther : The Album』にプロダクション面(主にライティング)で参加。昨年にもスクールボーイ・Q『CrasH Talk』、『The Lion King』に参加、ケンドリック・ラマーが先日発表した「pqLang」にもアクターとして出演するなど業界からの期待もさすがの一言だ。最新作『DIE FOR MY BITCH』でもその才能を遺憾なく発揮している。
このプロジェクトを一聴してまずわかるのが彼がいかに多才であるかだ。ケンドリック・ラマーのような柔軟なフロウとハイトーンな声を見せたかと思えば、ヘヴィーなビートを軽快に乗りこなすスクールボーイ・Qのようなリズム感も持ち合わせていることを見せる。驚くべきは10曲目” MY EX “だ。他の収録曲とは一風変わったアコースティック・ギターをベースにしたビートに乗せ、彼はまさに「歌い」上げている。楽曲へのアプローチという点で彼が本当に「なんでもできる」ということを感じさせられた。