Kvi Baba

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1999年生まれのラッパー Kvi Baba
が彩るネガティビティの存在価値

MARCH 25 2020

Written by momoha

Edited by SUBLYRICS

KVI BABA(クヴィ・ババ)は1999年生まれ大阪茨木市出身のラッパー。
2017年からSoundCloudで作品の配信を開始。2019年1月にビートメーカーDJ TATSUKIによる“ Invisible Lights ”に客演として、彼がレジェンドと慕うZORNと共に参加し話題を呼んだ。
同年2月には、KMプロデュースによる1st EP『Natural Born Pain』、そして翌月には、SALU, Minchanbaby, KLOOZを客演に迎え、ビートメイクにBACHLOGIC(1曲目” A Bright feat SALUl“はGaius Okamotoによるプロデュース)と数多くのクリエイターと共に、彼の年齢をタイトルに示した2nd EP『19』を続けてリリース。カバーアートはどちらも彼と同年代であるJUN INAGAWAが手掛けている。
そして9月には待望の1st アルバム『KVI BABA』をリリースした。
今記事では、そんな彼の過去作から、彼の音楽性とその魅力について紹介したいと思う。

ラディカルな心を隠すことがクールとされる審美を覆す

1st EP『Natural Born Pain』、2nd EP『19』は、そのタイトルからも分かるように、生まれ持った個性が自覚させる「痛み」を19歳の彼の声を介して放った作品であった。

1st EP『Natural Born Pain』は、KMのトラップビートが基となったリバーブの効いた漸進的なメロディーは、彼のオートチューンを操ったボーカルを乗せ、シンプルかつミニマルに仕上げられていた。2nd EP『19』でも、その表現力はさらに勢いを増し、悲観的でセンセーショナルなリリックには「ラディカルな心情を隠すことがクールとされる審美」を覆した彼らしさが逸脱なしに落とし込まていた。

言い知れぬプラットホームで過ごすなかで、見るものを選ばず、どんなネガティブな状況でも自分の繊細な心に健全でありながら“ 少し暗めの外れ道 ”を素直に歩む。そんな彼が描くネガティビティはその性質からも明らかになっている通り、聴いた者の胸に残響しながら「奥行き深い許容力」を引き出すパワーを従えていた。そのパワーの源とされる気場の現れは「満たされない心を満たすことが出来るのは自分自身だけだ」と己を愛し受け入れる事で、他者や過去の自身とさえも無比較に光を獲得出来るという気づきの産物であると言えるだろう。

 

痛む傷さえ愛せる

Natural Born Pain / Feel the moon

 なんだかんだ楽しかった なんだかんだこなしてきた

だけどなぜか生きる今 上手く息を繋げないんだ

嘘つきでいると誰も求めない 正直でいても人はいなくなり

難しく考えてる 君の頭上のみにまた降り注ぐRain

19 / Planted in Problem

寂しく感じたり、虚しく感じたり、

誰もが食ってかからない理解がないこの戦い

くだらないじゃ済まされねぇな Bros

俺は俺と俺みたいな奴のために歌うよ

聴いてくれ、耳を貸してくれ

そして君自身が誰かのために生きる意味を成してくれ

Natural Born Pain / Feel the moon

ここには、雑誌インタビューでも書かれている「受けるより与えるほうが幸せです」という彼の母親の言葉が示す様に、保有するネガティブな極性を理解した上で、自らが明けの明星となって輝き、他者に希望を与える。そしてまた受け手自身が光を放つ事で周りに希望を与える。そんなネガティブな存在でありながらもポジティブな未来を牽引する「二元性」を表明する事で聴き手のアイデンティティも尊重した追い風を生み出していた。

 

『KVI BABA』 自我が導く過去を超す未来

 

言葉にもならない言葉にもならない

突き刺さったまま胸の中で錆びてゆくナイフ

Rusty Man

 

あしらわれては縮こまってた ピュアで素直な胸の形が

蜘蛛の糸の様に結び合わす口実

嘘を並べ「もういい」 すさんでいくストーリー

Humanity

 

何が答えなんて、誰も分からないんだ 

だけどそれでいいんだ 俺が俺で俺と居れば

欠落した自我に降り注いだ外的の要因

自分なりの美学それに続き有るべきモラル 

それを常に抱く事が生きる実感となる

誰を見つめては 誰を愛すか

それを選ぶ事が出来ることを誇り愛しな

Decide

 

未来を知ってる どんな過去も超えれる

鏡の中でほほ笑む 自分だけを見据える

終わるときと共に始まる

Hope

 

1st アルバム『KVI BABA』では、スピード感のあるトラップビートを基として、人生を知悉した様な顔で薄ら笑う“ くそったれの地球人 ”へ抗う、自己防衛や欺瞞を脱ぎ捨てて掲げた赤心を感じるギター音を交えたBACHLOGICのビートに乗せて作り込まれていた。

心象は言葉にすると多少なりとも形を変えてしまう。そんなもどかしさを感じさせない“ 届かない心をも届かせる ”、メタファーを用いた高いリリックセンスで綴られた、まさに「言葉以上のリリック」に込められた死にたさ。それは他人によって翻弄された過去を振り返り、「他人に合わせる作業」によって出来た輪の中で過ごすうちに、外界から押し付けられてできた、自らの心を犠牲にした道徳的判断の内面化された形を表していた。

知らぬまに刻まれた生きにくさの要因がここで明らかになったのは、孤独に立ち返り自らの心との対談して自我が育まれたからだろう。こうして自我は、ネガティビティの存在価値となり“ 過去を超す未来 ”へのリスタートを導いていた。

彼から発信された旋律について考察する事で、多分に傾きが含まれている可能性や、聴き手の自由を推薦したい気持ちが混合して、畢竟は偽りのない心で専ら耳を澄ましていたいという本音に辿り付くものの、コラムという形で真意や感覚的要素を掬い文字を書き記す事で、彼の語る“ 君自身が誰かの為に生きる意味を成してくれ ”という言葉への共鳴として残したい。

来月、4月には一新紀元となる新EPの公開を示唆するコメントと共に、3月12日にSoundCloudで『Fuck You & Love U』が公開されている。本作では彼特有のリリックの色はそのままに残しつつも、人懐っこいメロディーによって、あえてワックな印象や鬱屈した雰囲気を秘めPOPに仕上げる事で表現される新しい人間らしさを感じた。もう一人の自分に向けて届けられている様な感覚に誘い、題名が記している二面性が謳われていた。自己一致に向き合う姿勢には深い愛が感じられ、今後配信予定であるEP要素でもある優しさにフォーカスされた作品の一部を垣間見た。

彼の人間性を宿した唯一無二な作品群、未聴の方には是非聞いて頂きたい

WRITER : momoha

Instagram: @oopss.zzz

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