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Tanima Mehrotra

デイヴ・イースト、デビュー・アルバム『Survival』に

込めた想い、自身の目標を語る

NOVEMBER 14 , 2019

1988年、NY・イーストハーレムに生まれ育ったラッパーDave Eastデイブ・イースト)

2010年に自身初となるプロジェクトをリリースして以来、14ものミックステープ、3つのEPを発表。
2014年に同じNY出身のレジェンド、Nas(ナズ)からオファーを受け、彼が率いる「Mass Appeal Records」とサイン。2016年にはXXLのフレッシュマンにも選出され。すでにミックステープ・EPで熱烈なファン・ベースを築きあげるも、彼が正式に「フルアルバム」をリリースすることはなかった。

そんな彼が11月8日に待望のデビュー・アルバム『Survival』を発表した。
イースト・ハーレムに拠点を置き、クラシックなラップスタイルを継承する彼が満を辞してリリースしたこのデビュー・アルバムは、どんな作品なのだろうか。

ファンになるのに他のテープはいらない。このアルバムで十分だ。俺のマインドを込めて、デイブ・イーストの作品を初めて聴く人に向けてラップをしてる。DJ Booth

『Survival』を製作するにあたって、自身のお気に入りのアーティストのデビュー・アルバムを参考にしたとも語る彼は、このプロジェクトでハーレムで育った少年時代、大学を中退しNBAへの道を諦めラッパーを志したこと、ナズとの出会い、父になったこと、ニプシー・ハッスルから得たインスピレーションなど、この作品をリリースするまでの多くのエピソードを語っている。

アルバムをリリースする直前に発表した「Survival Series Part1 – 5」はそのイントロダクションとも言える映像だった。

彼が過去にリリースしてきた『Karma』『Paranoia』などのミックステープのテーマは、彼が実際に経験してきた物事を元に作られてきた。ではデビュー・アルバムのタイトルにもなった「Survival」とは彼にとってどういった意味合いなのだろうか。

俺にとって「サバイバル」は目指している場所への道を阻む障害物に邪魔をさせないことなんだ。
ママが言ってたのを思い出すね。「今週はBeans & Franks(豆と肉の缶詰)があるから。」ってさ。今夜じゃなく「今週」だぜ。
人生には間違いなくアップ・アンド・ダウン(良い時も悪い時も)がある。
俺の両親はそれをクソ早い時期に教えてくれた。でもキツイ時期に落ち込んでばっかりじゃ、「良い時期」は絶対にやってこないんだ。– BET ”

人生を通して常に続けていることだからこそ、デビューアルバムのタイトルに用いたのも頷ける。彼はこのアルバムで「良い時期、悪い時期」を表現しながら、努力し続けることの重要性を語る。

この「Survival」というテーマは、今年3月に亡くなってしまったニプシー・ハッスルが掲げたスローガン「The Marathon Continue – マラソンは続く」にも似ている。何かを成し遂げるためには、諦めずにやり続けることが重要だと語るニプシーと彼は実際にかなり親しく、生前ジョイント・アルバムの製作も行っていたそうだ。
「Survival Series Part 5」には亡くなったニプシーを悔やみ、キャンドルを灯すデイブの姿が映し出されている。

ニプシーが彼、そして今作に与えた影響は非常に大きかったようだ。実際にアルバムの最後のトラックは” The Marathon Continues (Nipsey Tribute) “と題されている。

俺はただ彼が俺にどれだけ影響を与えてくれたかを伝えたかったんだ。みんなに俺の感謝を伝えたくて。彼が俺に与えたもの、彼が世界に与えたもの、彼が残したインスピレーション。それに感謝を送りたかった。
彼には直接伝えることはできなかったから、このビートでアルバムを締めたんだ。Bet

“ This marathon gon’ continue, nigga, I can’t quit
This marathon gon’ continue, nigga, I can’t quit
This marathon gon’ continue, nigga, I can’t quit

このマラソンはこれからも続く、だから俺は辞められないんだ。
– The Marathon Continue (Nipsey Tribute)“

彼がこのアルバムで描いたのは、彼がいかにここまでの人生を「サバイブ」してきたかだ。しかし、このアルバムで彼が描いたのは「自分の人生」だけではない。彼は今多くのものを背負っている。
年齢を重ね、このアルバムを制作する際、彼は人生が単に自分のものだけでなく、多くの人にインスピレーションを与えるものだと気付いたのだと言う。

守るべきものが増えてると感じてる。昔は自分のことばかりだったけど、今はブランドを持っていて、俺の名前が多くの人につながっている。子供もいるし、俺の行動を誰が見ていて、どんなインスピレーションを受けるは俺にはわからない。ナズに出会った時、彼に「13からずっとインスパイアされてる」って言ったけど、彼がそんなこと知らなかったのと同じでさ。
俺も同じで、この先出会うことのない何百万ものキッズがいると思う。俺にどんな風なイメージを持っているかわからないけど、「イケてる」って思っていてほしいんだ。尊敬される何者かになりたいよ。– BET “

収録曲 “ They Wanna Kill You “では自身が若くして殺されてしまうことの不安を、” Baby “では愛する子どもへの愛を。どんな苦しい時でも目標を持ちながら人生をサバイブし続ける彼の姿勢がこの作品に描かれている。

彼はこのアルバムで成し遂げたいことがあるとインタビューで語る。

グラミーが欲しいんだ。少なくともノミネートされたいね。ママと一緒にグラミーの会場で座れたら最高だろ。みんなが忘れられない作品になるといいね。 BET

彼はヒット・チャートを狙うことを目掛けた作品作りはしていない。ニプシーの想いを受け継ぎながら、ひたむきに多くの人たちにインスピレーションを与えることを目標に走り続ける彼のデビュー・アルバムはそのマインドを体現している。グラミーにノミネートされることで、その想いがより多くの人に伝わることを願うばかりだ。

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