tyler the creator kerwin frost

Kerwin Frost : Youtube

タイラー・ザ・クリエイター、Kerwin Frostのインタビューに登場。人生を変えた決断と高校時代の恩師について語る

DECEMBER 21, 2019

2019年の5月、グラミー賞「Best Rap Album」にノミネートされることとなるアルバム『IGOR – イーゴア』をリリースしたアーティスト、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)
2011年デビュー・アルバム『Goblin』をリリース以来、彼はピュアに音楽への愛を存分に込めた作品を生み出し続けてきた。現在では音楽だけではなくアパレル・ブランド「GOLF WANG」をディレクション、音楽フェス「Camp Flog Gnaw」の開催などその活躍は多岐に渡る。

彼の生い立ちから現在までを追い、その魅力を語った記事は以下からチェックできるので、まだご覧になっていない方は是非チェックしてほしい。

【タイラー・ザ・クリエイターとは 「創造」を止めない、
どれだけ「Weird – ウィアード」と言われても / Rappers Dictionary」】

そんなタイラーがNYを拠点に活動するアートユニットのSpaghetti Boys(スパゲッティ・ボーイズ)のメンバーであり、音楽アーティストとも親交が深いKerwin Frost(カーウィン・フロスト)のインタビュー動画に登場。
過去にエイサップ・ロッキー、ポスト・マローン、シザ、ブラッド・オレンジなども登場した連載に登場したタイラーは何を語ったのだろうか。1時間ほどの動画内では非常に幅広い話題が扱われているのだが、今回はそのうちから印象的なエピソードを紹介していこうと思う。

タイラーはすでに10年ほど音楽アーティストとして活動している。
スタジオ・アルバムを5枚リリースし、グラミー賞ノミネートなど音楽的な成功を納めてきた彼は28歳ながら、アーティストとしてベテランの域に到達したという見方もできる。
彼の個性を存分に発揮した『Flower Boy』や『IGOR』といった作品を聴けば、彼のキャリアが” 一周 “したという感覚を感じているファンも多いのではないだろうか。
カーウィンが「10年以上音楽を製作し続けていて、時々疲れたりしないのか?」とタイラーに尋ねると、彼はこう答える。

みんな何かに疲れてるさ。
でも俺はまだ自分がやっていることを愛してるし、俺は未だに朝6時に起きて新しい音楽や新たなコード進行を探してる。
昔からずっと外に出かけて夕日を見るのが好きだし、マジで子どもじみてるけど、まだ俺はアイスクリームやドーナツにクッキーが大好きなんだ。そういうモノが俺に本能的な喜び、楽しさを与えてくれる。

5年前、バスキン・ロビンスで老人を見てたんだ。彼はルートビア・フロートを食べてた。マジでうまそうにアイスを食ってんだよ。多分彼は昔からずっとアイスが好きなんだろうなって感じたよ。最高だよな。

5年前見かけた老人がアイスを喜んで味わう姿を見て、自身の音楽に対する愛情も同じように消えないのだろうと思ったと語るタイラー。
一時的に疲れることはあっても、毎日のように新しい音楽を探し続ける彼の愛情は過去の作品のネタ使い、そしてインタビューで語る言葉の随所に表れている。

会話の内容は音楽だけに限らず、彼のデビュー前のエピソードにも及んだ。
オッド・フューチャー、タイラーといえばカリフォルニアのイメージだが、実際に彼は2010年までカリフォルニア州から足を踏み出したことが一切なかったという。
カーウィンに「人生で最初に体感したリアルな体験」を尋ねられたタイラーは以下のように回答した。

2010年、俺はFedExで働いてた。
友達のアーサーがDMをしてて、その時人生で一度もカリフォルニアから出たことがないって伝えたら、彼に驚かれてさ。「ニューヨークに来いよ」って言われたんだ。でもその時はFedExで働いてたから、すぐにそこのマネージャーに辞めることを伝えたんだ。
マネージャーも「お前はここにいるべきじゃない」と言ってくれたし、その後にNYに飛んだんだ。

NYには2日間いたけど全てが違った。俺はカリフォルニア育ちで気候が暖かいから、そこで初めて「冬の気候」ってものを感じた。街並みも違うしさ。
今まで地元が心地よくて離れなかったけど「マジかよ!」って衝撃だったね。それ以来、カリフォルニアを離れて世界中を見てみたいと思ったんだ。
「パスポートを取らねえと!」ってさ。もっと色々な経験がしたくなった。

過去のインタビューで「見知らぬ土地を自転車で走り回るのが最高の思い出だ」と語っていたように彼は海外での経験を大事にしている。仕事を退職するのは決断力が必要なことではあるが、彼はその決断力を高校卒業後すぐにも発揮していたようだ。

” アートスクールには行ったことないよ。行きたいと思ってたけど、代わりにコミュニティ・カレッジに一ヶ月ほど通うことになったんだ。
でもそこに行って思ったんだ「俺は時間をマジで無駄にしてる」って。

ママに「行け」って言われたから行くことになったんだけど、俺はその時すでにやりたいことが決まってた。なのに音楽と関係ない学校で授業を取って、自分の時間も先生の時間も無駄にしてた。

「大学に行って奨学金をもらって、将来金を稼ぐ」みたいな奴はいるけど、俺は38になって好きなこともできずに、強制されるように仕事をしてる死んだも同然の奴を見てきた。「好きだからやる」よりも「金のためにやらなきゃいけない」って仕事をしている奴をな。
その時思ったんだよ、俺は若いし、リスクを取ってやるってな。だって俺にとってはそんな人生クソだから。それで大学に行くのも辞めた。

俺が言えるアドバイスは「好きなことをやれ」ってことだけだよ。

音楽という「やりたいこと」が決まっていた彼にとってカレッジは無駄な時間だったという。以上のような大きな決断により彼の人生は間違いなく大きく変化している。
『Cherry Bomb』リリース時の彼からのメッセージを思い出すエピソードだが、いわゆる「社会的な安定」からは遠い位置にある道を志す日本の若者たちにも非常にインスピレーショナルなエピソードだろう。

彼は過去のインタビューにて高校・大学というコミュニティの中で深い信頼関係を持つ友人を作ることはなかったと語っている。しかし、高校在学時には自身の才能を開花させてくれるような恩師に出会うことができたという。

高校はイライラする場所だった。全てが馬鹿らしかったよ。ほんの少しの出来事を除いてね。
モンローって先生がいたんだ。これはいつも言うけど、彼女は俺に「落ち着け」と言わなかった唯一の先生だ。
彼女には本当にたくさん借りがあるんだ。例えば、生徒にエッセイの課題が出た時、彼女は俺にエッセイの代わりにヴァース(リリック)を書くように言ってくれた。

もしかして俺の才能を見抜いてくれたのかもしれないけど、そういうポイントを見つけて、何が上手く行くかを考えてくれた。結果、それが上手くいったんだ。彼女には一生感謝し続けるよ。

アーティストとしてデビューしてから10年が経つタイラーだが、彼がラッパーとしてキャリアを始めた背景にはこのような出来事があったそうだ。オッド・フューチャーしかりだが、偶然の出会いも彼のキャリアには大きく作用しているのかもしれない。

途中タイラーが最も嫌いな質問である「何にインスピレーションを受ける?」という質問をカーウィンが投げかけ、タイラーが襲いかかるというシーンもあったが、終始和やかに行われたインタビューだった。
インタビューの全編では最近お気に入りの映画や、どのように運動を行なっているかなど更に多岐に渡る話題が語られているので是非チェックしてみてほしい。

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