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NEIL RASMUS/BFA.COM / RAP UP

ヴァージル・アブロー、グラミー賞における
ジャンル区分の問題に対し「ストリートウェアも同じだ」と語る

FEBRUARY 04 2020

日本時間1月27日午前9時〜第62回グラミー賞が催され、ライブ・パフォーマンス、ノミネート作品から授賞作品が選ばれる授賞式が行われた。
ヒップホップ / ラップ部門では、ニプシー・ハッスル、ロディ・リッチの” Racks in the Middle “、J.コール、21サヴェージの” A lot “などが賞を勝ち取った。また、先日当メディアでも紹介したようにタイラー・ザ・クリエイターが5枚目のスタジオ・アルバムにしてBest Rap Albumを受賞したことも受賞式の注目すべきハイライトの一つだろう。

しかし、受賞後のコメントでタイラーは複雑な心境を語っていた。

微妙な気分だよ。一方では世界中に認知される機会を与えてくれて本当に感謝してるけど、俺のような奴にとってはクソなことも事実だ。ジャンル関係なく音楽をやっているやつにはね。彼らはいつもそういうアーティストを「ラップ」や「アーバン」のカテゴリーに入れるんだ。俺は「アーバン」って言葉が嫌いだ。それってポリコレ風にNワードを変化させただけの言葉に聞こえるんだよ。

だからノミネートを聞いた時、「なんで俺たちは「ポップ」には入れないんだ?」と思ったよ。自分の心の中の半分が、ラップ部門でのノミネートが皮肉にも思えてしまったんだ。「ゲームをやりたがってるいとこの子どもに、コントローラーだけ与えて黙らせて、喜ばせる。」自分もその子どものような気分になった。

一方で、このレベルまで自分のアートが認識されたことには本当に感謝してるよ。俺はラジオでかかるような曲は作ってないし、みんなが聴いてくれるような音楽とは違う世界にいるだろうから。だから本当に感謝してる。”

彼は自身の作品が、「アフリカン・アメリカン」という自身のアイデンティティや、過去手がけた作品によって「アーバン」「ラップ」といった特定のジャンルに区分されることに対する不満を語った。
実際にタイラーの最新作『IGOR』は過去作のようないわゆる「ラップ・アルバム」とは言い難い、横断的にジャンルが融合された形の作品であった。そして現代において、一つの作品に様々なジャンルが融合されているというのはごく当たり前に起こっていることだ。

そんなタイラーのコメントに同意を示したのは2013年〜OFF WHITEをスタート、現在はルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターとして活躍するヴァージル・アブロー。

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young, wise, and gifted @feliciathegoat. exact sentiment when I hear the word “streetwear”

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若く、賢明で、才能に溢れている。@felicathegoat
俺も「ストリートウェア」という言葉を聞くと、まさに同じ感情になるよ。”

ヴァージルはイリノイ州ロックフォード生まれ、ガーナにルーツを持つアフリカン・アメリカンだ。
2012年にカニエ・ウエストの設立したクリエイティブ・エージェンシーDONDAのクリエイティブ・ディレクターに就任したことや、Off Whiteを筆頭に「ストリート・ラグジュアリー」というスタイルを世界に浸透させた過去から、彼はいつも「ストリート・ウェア」というジャンルの枠組みを与えられてきた。

勿論ヴァージルがストリート・カルチャーに影響を大きく影響を受け、カニエ・ウエストのようなラッパー / アーティストたちと仕事をしてきたことは間違いないし、彼のルーツは揺るぎないものだが、彼が生み出す作品は「ストリート・ウェア」のような特定のジャンルに縛られるべきではない。
現ルイ・ヴィトンのCEOであるマイケル・パークのヴァージルのディレクター就任時のコメントを見れば、それは明確だろう。

“ 2006年に彼とフェンディで一緒に仕事をして以来、ヴァージルの才能が徐々に開花していく様子を大きな興味をもって見てきました。そして今、生まれながらのクリエイティビティと既存の概念を打ち砕くようなアプローチによって、彼がファッションの世界だけでなく今日のポピュラーカルチャー界においても重要人物となったことを非常に嬉しく思っています。- fashionsnap.com

彼は自身オリジナルのクリエイティビティと、既存の概念を打ち砕くアプローチをもって服作りを行っている。これはタイラー・ザ・クリエイターが音楽を製作するプロセスと何ら変わらないだろう。

ヒップホップ・ラップミュージック、そしてストリート・ウェア。ストリート(・カルチャー)が起点となって生まれた音楽や服は今や、世界を席巻している。だからこそ一度大きく広がった概念から、新たな価値、創造を生み出そうと試みるアーティストたちを既存の枠組みに当てはめてしまうのは残念でならない。グラミー賞が何十年も続く権威ある賞であり、変化を生み出すことが難しいのは勿論理解できるが、「世界最高峰の音楽の祭典」であるからこそ、アートの変化と共に何かしらの変化を自らに起こしてくれることを期待したい。

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