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「毎朝起きる度、人生が終わったかのような気分だった」
Big Sean、疲弊したメンタルヘルスと、問題を乗り越えた方法を語る

FEBRUARY 19 2020

ミシガン州デトロイト出身のラッパーBig Sean(ビッグ・ショーン)は2020年、5枚目のアルバム『DON LIFE』をリリースしようとしている。

2007年にカニエ・ウエスト率いるG.O.O.D Music、翌年にはDef Jam Recordsとの契約を果たすなど、19、20歳の時から大きな期待とプレッシャーを背負いながら活躍してきたショーン。
振り返れば、デビューアルバム『Finally Famous』で初めて名声を手にした彼はすでに4枚のソロ・スタジオ・アルバムをリリース、グラミーにも5度ノミネートされるなど順風満帆なキャリアを送ってきた。

しかし、そんな彼は2017年に『I Decided』をリリースしてから約2年間、メンタルの問題を抱え、私たちの前から姿を消していた。

Post Malone、A$AP Rocky、Made In TYO、Meek Mill、P.Diddyとのコラボ曲も収録予定のニューアルバムのリリースを控えたショーンは、どのように「張り裂けるほど傷ついた」状態から前を向き、制作に着手することができたのだろうか。Joe Buddenによるインタビューにて、その心境を語ってくれたので、紹介していこうと思う。

俺は11歳の頃、ラップを始めた頃と同じ情熱を持てていないって気づいたんだ。
今も情熱はあるよ、けど「人生」への情熱が消えてしまったんだ。それは何かを「楽しむ」時間がなくなってしまったからだと思う。「生活」する時間を取っていなかったんだ。

音楽の世界はこんな感じだよ。「次の作品はまだか!今のペースで出し続けろ!」ってさ。俺は作品を全て書いてるし、誰かにビートを送ってもらっても、それをしっかり聴き込まないといけない。それでいてスタジオに入って、ライブをしてって。それ以外の生活を送る時間が取れていなかったんだ。

スタジオ、アルバム、プロモ、ツアー。その繰り返し。この状況から抜け出す方法が当時わからなかったんだ。30歳になった時、俺は壁にぶち当たったんだ。毎朝起きるたび、人生が終わったかのような気分だった。

19歳からスター・ラッパーとして活躍してきたショーンは「ラップで成り上がる」という大きな夢を成し遂げてきた。一方で、楽しかったはずの音楽と、その多忙さはショーン自身を苦しめていたのだという。私生活と仕事のバランスを崩し、本来持っていた「情熱」を音楽に注ぎ込むことができなくなったのだ。

過去に『DON LIFE』のプレビュー/ 考察記事で紹介したように、彼はラッパーとして成功を収め、憧れていた生活を手にしたものの、その心は全く満たされず、むしろ人生で最も不幸せな時間を過ごしたのだという。

何人ものアーティストたちがアーティストとして成功を収めるも、メンタルに問題を抱え、ドラッグによるオーバードーズで亡くなってしまった過去を私たちは見てきている。彼はどのようにそのメンタル・ヘルスの状態を理解し、乗り越えていったのだろうか。

その時、俺と家族との関係は完全に疎遠になっていたんだ。
今でも鮮明に覚えてるよ、母親に「俺の人生に関わって欲しくない」と言ってしまったのをね。 その後、俺は道を外れてしまった。
コンサートや色々な機会があったのに全てを断った。「今は何もしない」と言わなければいけない状況だったんだ。最初にしたことは治療法(セラピー)を見つけることだった。
周りの人たちに問題について話すこともできたけど、ただその問題を共有する専門の人に話したかったんだ。そうすれば仲の良い周りの人と、フレッシュなエナジーで接することができるから。

そのセラピーを始めてから気づいたんだ。「自分が疲れ切っていた」ってね。そこで「問題を認識する」という、乗り越えるための第一歩を踏み出すことができた。
今まで自分のメンタル・ヘルスのことなんか考えたこともなかったんだ。全ての2の次だった。俺は母親や全ての人を養わないといけないし、俺は今でも家族の経済的な支柱なんだ。その責任をいつも感じていた。勿論、それは俺の目標でもあったんだけどね。

周囲の人間を養うという「責任」を背負い、自分のメンタル・ヘルスのことまで考えることができていなかったと語るショーン。「今は何もしない」という勇気ある決断を取り、セラピーに通うことで、自分がいかに疲弊しているかを理解したという。

これは音楽に限らず、全ての仕事において言えることだ。例え仕事の内容がどれほど好きなことでも、極端な「多忙さ」や「重圧」はメンタルを疲弊させ、その情熱さえも消耗させてしまう。常に努力し続け、社会的地位を向上することを目指すのはヒップホップの重要なマインドの一つだが、ショーンは自分と向き合う時間を作ることも必要だということを教えてくれた。彼はその時間を通じて、音楽への情熱を取り戻し、ありのままの姿を私たちに見せてくれることだろう。

” 俺は毎日を一人で生きることを知らなかった。恋愛や、友人と一緒にいることばかりに幸せや楽しみを見出していた。でも自分ともっと向き合って、自分自身と上手く付き合っていく時間がいかに重要かを理解していなかった。- Sean Don (@bigsean : Twitter)

2時間を超えるインタビューでは上記の内容だけでなく様々な話題が扱われている。ホストのJoe Buddenが昨年11月、ショーンの恋人であるJhene Aikoに対し「アーティストとして成長しない」とコメントしたことを踏まえ、「インスタグラムのブロックを解除してくれ」と嘆いたり、ケンドリック・ラマーとのビーフの噂をショーンがきっぱり否定している。動画のフルverは以下にあるので、お時間のある人は是非チェックして見てほしい。

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