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Billboard

Don Toliverがデビュー・アルバム
『Heaven or Hell』で見せる自らの真価

MARCH 04 2020

Travis Scott『ASTROWORLD』への参加でその名前を知らしめたテキサス州ヒューストン出身のラッパーDon Toliver(ドン・トリヴァー)

2018年8月Travis Scott率いるCactus Jackにサイン、レーベルによるコンピレーション・アルバム『JACKBOYS』に参加したことで、シンガーにも見劣りしない歌声とその魅力は多くの人に届いたことだろう。そんな彼が今月13日にもデビュー・アルバム『Heaven or Hell』をCactus Jackからリリースしようとしている。

前作(ミックステープ)『Donny Womack』で鮮烈なデビューを飾った彼のデビュー・アルバムはどのような作品となるのだろうか。ほんの数年でスターへの階段を登り詰める彼と、その存在を発掘したと言えるTravis Scottの出会いはどこにあったのだろうか。
未だ謎に包まれた彼の過去、そして最新プロジェクトについてインタビューを参照しながら紹介していこうと思う。

俺たちはただ希望だけを持ってシーンに出てきた。夢だよ。2017年、俺は色々なことをしていたけど、ビジネスの類は全くしていなかった。ただ(ラップで生活するための)道を敷いていたんだ。ホーミーと共に地道に努力し続けた。

彼はほんの数年前まで、ラップで生活していくことを「夢見る」青年だった。そこから目まぐるしいほどに状況が変化していくわけだが、音楽の道を絶対に進むと決意した瞬間はあったのだろうか。

ある程度音楽を続けた時、仲の良い友人たちに「お前は普通とは違うことをした方が良い」と説得された。自分でも音楽に夢中になっているのを理解していたんだ。
瞬間を挙げると、” Diva “と” I Gotta “を制作した時だと思う。この2曲はヒューストンのストリートを支配できると思ったんだ。“ Diva “はメロディックなシングルで、クラブでも盛り上がるような一曲だ。きっと上手くいくと思ってた。マネージャーのCheddarがDJにも紹介してくれてね。

2017年にリリースしたYung Josh 93とのジョイント・ミックステープ、” Diva “, ” I Gotta “の2シングルのヒットがきっかけとなり、彼はAtlantic Recordsとの契約を結んだ。
「ヒューストンのストリートを支配できる」という彼の持っていた自信は現実になり、地元のスターTravis Scottの目に止まったというわけだ。

「売れるため、ビッグになるための戦略なんてなかった。ただ俺は作品を作って、みんなに聴かれて、自立できることを目標にしてた。」

彼はインタビュー中でTravis Scottへのリスペクトの姿勢を見せる。地元ヒューストンで人気を得た後、その名前が世界に知れ渡る過程で彼の存在がいかに大きかったかは、彼の言葉からもわかるだろう。

「” Can’t Say “は間違いなく俺の人生を変えた」

彼らはどのように出会い、実際に契約に至ったのだろうか。

初めて彼と出会ったのは2017年のオールスターゲームの日だ。連絡が来てスタジオに行ったら、彼がいてね。その前から俺の存在は知ってくれていたみたいだ。
彼は俺のアイドルだ。人生で一番かと思うくらいに緊張したよ。彼は本当にリアルだ。クレイジーな出来事だったよ。未だに信じられないね。

Travis Scottが地元ヒューストンでいかにリスペクトされているかがよくわかるエピソードでもあるが、音源をリリースし始めた2017年内に地元のスターに認知されていたのだから、トリヴァー自身の作品がヒューストンでいかにヒットしていたかも伺えるだろう。

彼はインターネット上に音源をアップロードするだけでなく、地元ヒューストンで頻繁にライブも行っていたそう。そこでの経験が今の彼自身が持つ勇気や自信にも繋がっているようだ。

俺はアンダーグラウンドで沢山ライブをやっていた。そのステージで冷たい視線を送られることもよくあったから、誰かに拒絶されても問題ないね。どんな拒絶を受けても、俺は絶対落ち込んだり、自分を蔑んだりしないんだ。

数年でラップ・シーンを登り詰め、今や最も期待される若手ラッパーの一人となったトリヴァー。中には批判や、支持されないことも多々あったのかもしれない。それでも自分自身に自信を持ち続けることが重要なのだと教えてくれる。

そんなトリヴァーのデビュー・アルバム『Heaven or Hell』はどんな作品になっているのだろうか。

俺は「双子座」なんだ。それを違う方法で表現してみようと思ってタイトルは決めた。
タイトルは「天国か地獄」だけど、これは「過去の良い時期、悪い時期」を音楽で表現したのではないんだ。音楽には同じような曲調のものもあるし、バイブスが違うものもある。俺はアルバムに縛りを設けず、異なるアプローチを作中で表現しているから(対極的なものをタイトルにした)
収録曲の多くがWondaGurlのプロデュースだ。それに加えてMike Deanも参加してる。

この作品で俺の人間としての成長も見えると思う。俺の全てを注いだから、きっとベストなものが期待できるよ。

Drake、Travis Scott、Jay-Z、Rihannaなどをプロデュースして来たカナダ・トロント出身のプロデューサーWondaGurl、レジェンドMike Deanを制作に迎えた待望のデビュー・アルバム『Heaven or Hell』は3月13日のリリースを予定している。初めて音源をリリースしてから3年。ヒューストンのストリートから評価を手にした今、彼は世界に向けその真価を発揮してくれるだろう。

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