future

Devin Christopher for XXL

Future、ネクスト・アルバム 『Life Is Good』のコンセプト
相次ぐラッパーの死に対する思いを語る

APRIL 09 2020

アトランタ出身、トラップ・ミュージックの最前線で活躍し続け、現在のラップ・シーンにおいても間違いなく最重要人物の一人であるアーティスト、Future(フューチャー)

今年に入ってからDrake とのコラボ・シングル“ Life Is Good ”, “ Desires ”の2曲、個人としても“ Tycoon ”と題されたシングルをすでにリリースするなど精力的に活動を行なっており、8枚目となるスタジオ・アルバムが年内にリリースされる可能性も十分に考えられる。

そんなFuture が表紙を飾ったXXLのインタビューに登場。ニューアルバムについて、自身が若手アーティストに与える影響、ここ数年多くのラッパーがドラッグや銃撃によって亡くなっている事実についての考えを語ってくれたので紹介していきたいと思う。

(XXL)

(ニュー・プロジェクトである)『Life Is Good』は人生をグッドな状態で過ごすこと、人生を楽しむことについて語ってる。多くの悲劇や大惨事が今世の中では起こってる。でもみんな人生を楽しみたいだろ。生きている限りさ。みんな朝起きて、空気を吸って、全身で感じたいはずさ。この地球で生きる全ての瞬間、生活の全てに感謝して生きていきたいんだ。

『Life Is Good』は今の俺の状況だよ。精神的に俺のライフは上手くいってる。それってただの心理的なものだし、良いことが起きても、悪いことが起きても、人生は良いもの。けど同時に人生は尊いものなんだ。みんな人生は1度きりだろ。だったらそれを最高なものにしたいだろ。

この厳しい時期だからこそ俺は自分、そして誰かにポジティブなメッセージを届けたい。常に「Life Is Good」と言い続ければ、みんなにも思い出してもらえるだろ。みんなを元気付けて、みんなに良いムードを手に入れてもらうのさ。

今年1月にリリースされた “ Life Is Good ” はDrake とのコラボ・シングルで、その曲名がそのままアルバムのタイトルに用いられるようだ。となれば、“ Life Is Good ”は次回作のリード・シングルと見て間違いないだろう。

「Working on the weekend like usual – いつも通り週末にも働くぜ」というフックの通り、豊かで、最高の生活を送るためには「努力が欠かせない」という考えを “ Life Is Good ” で二人は提示していた。

勿論グッドな人生を送るには努力をしないといけない。
朝目覚めて「今日もきっと同じ一日だ」と思ってはダメだ。

その瞬間を生きることも大事だけど、一歩下がって状況を観察し、全てのステップを計算しなきゃならない。けど同時に、自分らしさを忘れてはいけないんだ。自分でい続けることを常に意識しろ。そうすればきっと違う方法でチャンスを掴めたり、物事が自分に上手く作用するから。

たとえ物事が上手くいかなくても、トライして、自分にとって物事が上手く進むようにしていくんだ。「ポジティブな光を放つ」それがこのアルバムの全てだよ。

次回作のテーマを「ポジティブな光を放つこと」だと明かしてくれたプルート。コンセプトだけでなく、クリエイティブな側面でも次回作が「ネクストレベル、既成概念に囚われないような作品だ。」と語っており、そのテーマ、サウンド共に楽しみでならない。

また次回アルバムだけでなく、ラッパーとして彼が現在受けている評価について、若手アーティストへの影響についての考えについても語ってくれた。

(あなたは今最も影響力のあるアーティストの一人だよね。それに見合う評価がなされていると思う?)

” 認知はされていると思うよ。今俺は自分自身に課した目標を追い続けてる。仮に今俺が過大評価だというなら、それはフェアじゃないね。だって俺は常に進化する方法を見つけ続けてきたし、誰にも軽はずみな発言で罵って欲しくない。それならまず俺に証明させてくれ。

評価も認知もあると思う。けど結局は、俺は自分自身が決めた目標に向かっているわけだから、今の俺が目指すのはそこのみだね。

(アーティストとして若手アーティストに及ぼしている影響をどう見ている?)

” 自分の作品が彼らに及ぼすインパクトはあると思う。けど別に気にしてないね。気にする人もいるだろうけど。
アーティストたちは常に何かを生み出したがってる、リスナーやファンが関心を抱くような作品を届けたいと常に思ってるだろ。

俺はこのアルバムがその参考になると思うんだ。過去の作品よりもより良い作品を作るにはどうすればいいか、というお手本にね。まあ何であれ、みんなこの作品から何かが得られるはずさ。

自身が努力して掴んだグッドな人生を示すことで、誰しもが夢を叶えられることを証明すると語るFuture。世の中が暗い状況だからこそ、他のアーティストや周りの評価を気にかけることなく、ポジティブな光を放つという目標に向かい続ける姿を見せてくれそうだ。

また、今回のインタビューではFuture は昨年12月にオーバードーズにより亡くなったラッパーJuice Wrld への想いも語ってくれた。Juice は生前、Future が憧れの存在であり、彼の音楽の影響でリーン(咳止めシロップとソフトドリンクを混ぜたドラッグ)を始めたとも語っていることからFuture も彼に特別な感情があることだろう。

Juice Wrld を始め、近年多くのラッパーがドラッグの過剰摂取で亡くなっていることから、ドラッグの使用を楽曲のテーマにすることの是非が問われているが、彼はどのような意見を持っているのだろうか。

(あなたは昨年12月にオーバードーズで亡くなったJuice Wrld とコラボしていたよね。あの事件が起きた時、どんな気持ちだった?)

本当に辛かったよ。今だって辛い。胸が張り裂けたよ。安らかに眠ってくれJuice Wlrd。彼は素晴らしいアーティストだった。まだまだやれたのに。

(あなたの音楽におけるドラッグについての言及が彼に影響を与えていると感じたことはある?彼はあなたの音楽に自分自身が影響を受けた部分があると語っていたよね。)

ああ。だけど俺の前にはドラッグについて語ってきた人たちはいたはずだ。ロックン・ロールのスターや、ポップ・スター。リハビリに通うアーティストもいて、みんなそれでオーバードーズの存在に気づいたはずだ。どちらかというと、俺はそこにより光を当ててしまったかもしれない。俺のカリスマや、リズム、みんなの反応も影響して、より大きな注意を引いてしまった。

けど俺の話すようなテーマは特別新しいものじゃない。自分がこんな風に影響を持っているなんて、意図していなかったんだ。俺はただ自分に素直でいただけなのに。

俺はただ自分でいただけ、そこから誰がどんな影響を受けるかはわからない。けど同時に、誰も自分自身を傷つけるようなことはしないでほしい。自分が死んでしまうようなことはね。Juice Wrld は繊細な状況にいたんだ。

起きた出来事全てに心が張り裂けてる。俺の心は彼の家族、そして彼のママの元にあるよ。

(JuiceやNipsey、XXXTentacion、Mac Miller、Pop Smokeなど、私たちは今殺人やドラッグ、オーバードーズ、病気によって今までにないほど多くのラッパーを失っているよね。あなたはラッパーでいることはクレイジーなことだと思う?)

いいや、そうは思わない。だって普通の人だって刑務所に行くことはあるんだから。普通の生活を送って、仕事をしていて、誰かに強盗に入られたら、死んでしまうこともある。誰も発砲されて殺されるなんて想像もしていないのにだ。

悲劇、問題に巻き込まれた全ての人に祈ってるよ。彼らのことを思うと同時に、誰もが結局は何かしらの理由で亡くなることも事実だ。それがたまたまラッパーだっただけで、その事実にフォーカスして、「ラッパーはこんなことしてるのか!」とか「ラッパーがオーバードーズしたり、銃殺されるのは良くあることなんだ!」と言ってるわけだよ。これがストリートなんだ。新たなストリートの形だよ。

10年前よりラッパーが増えた。だから今色々なことが起きているけど。
今、多くの若手ラッパーがものすごいスピードで成長している。すごいスピードで金を手にしても、成功との付き合い方がわかっていないラッパーが沢山いるのさ。成功を掴んだり、金を手にした時に、どんな風に振舞うべきかのガイドラインを彼らは持っていない。

どれくらい睡眠をとればいいのか、どれくらいの水を飲むべきか、ドラッグの限界量。全て誰も教えてくれないし、ガイドラインはない。自分でコントロールすべきで、自分らしくあるべきだ。自分のボスにならないと。

全ての出来事は自分から起こる。何を与えて、何を我慢しないといけないかを知らないといけない。自分にとっての上限を知ること。だって自分の運命を決めるのは自分だけだから。

近年多くのラッパーが相次いで亡くなっている事実に対して、彼はラッパーであることは直接関係はなく、ストリートでは、たとえラッパーではなくても命を落とすことは珍しくないと語る。

そんなストリートと切っても切れない関係性にあるヒップホップという音楽にも必然的に危険が伴うのだろうが、彼らにとってラッパーを襲っているような危険がいかに日常的なものであるかがよくわかる。

また、彼は自身がドラッグを曲中で語ることは「自分が始めたわけではない」と置きながらも、薬物に大きな注目を集めてしまったと語る。彼の語るようにラッパーたちは「クールに見せたいから」ドラッグについて歌うのではなく、ただドラッグが頻繁に現れる「日常」を素直に語っているだけなのだ。

彼の言う通り、それをどのように受け止めるかはリスナー次第ではあるわけだが、この一連の言葉からは、彼が自身の作品と、そのテーマについて深く考えを巡らせたこと、何よりJuice Wrld の死に深い悲しみを持って向き合ったことが読み取れるだろう。

以上で紹介した回答の他にも、彼の日常に関する質問なども以下に掲載するので、是非そちらもチェックしてみてほしい。インタビューの全文はこちらから。

(何がモチベーション?)

子供たちや、家族。ママ、姉妹、兄弟、いとこ、姪っ子、甥っ子のためだな。

(今あなたにとって全てが「Life Is Good」な状態?)

ライフ・イズ・グッドだよ。俺が常にその例になり、証明するんだ。みんなも夢を叶えられるってね。

(常に忙しい生活を送る方法は?リラックス・タイムは何をしているの?)

リラックス・タイムはビーチに行くことかな。ビーチで飯を食ったりね。ビーチでランチを食べたり、ディナーを食べたりもするよ。時々ね。

(それはどこのビーチのこと?カリフォルニア?それともフロリダ?)

あぁ、時々南フランスにも行ったりするよ。マイアミはいつも最高だね。ここ(カリフォルニア)のようにね。ジャマイカや、イタリアのビーチにもいった方がいいよ。Amalifi Coastのビーチが最高だから。

(普段、音楽は何を聴くの?)

最近、常にというくらいアーティストがアルバムを出しているから、それを聴いてるね。一周通して聴いたり、聴き直したり。色々種類の違う曲を聴いて、世の中で何が起きているのかを感じとったり、みんなに聴いてもらったりするんだ。アーティストがアルバムを出したらダウンロードしておいて、その日かその週のうちには聴くことにしてる。多すぎて聴くのを忘れてしまうこともあるけど。

(あなたの周りには素晴らしいチームがずっと一緒にいるね。そういったチームに巡り会えて幸運だった?)

ああ。幸運だった。けど俺は昔からの関係性を大事にする人だから、そういう昔からの知り合いとも常に連絡を取り続けて、みんなの動きも常に理解してたかね。

(あなたは昔からずっとラップを仕事だと思っていた?「これは俺の仕事だ。これをやって生涯金を稼ぐんだ」なんて風に。)

最初は、ただ自分の好きなこととしてラップをしてた。俺は自分自身のメンタルが落ちるようなマインドセットは持ちたくない。俺には限界がないんだ。音楽に関しては、俺は何かを生み出したい。そこに常に情熱的でありたいんだ。自分の全てを捧げたい。

自分の力を出し切って、全てをやり尽くしたいし、最高のものを生み出したい、自分の才能を最大限に活かしたいんだ。

(今までのキャリアに何か後悔はある?)

ないね。だって良いことも悪いことも、それがなかったから、ここにはいないから。

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