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GRM Daily

「全てを分かりやすくする必要はないんだ」
dvsn、『A Muse In Her Feelings』のコンセプトを語る

APRIL 22 2020

シンガーのDaniel Daley、プロデューサーのNineteen 85。トロント出身の二人からなるR&Bデュオ dvsn が3枚目のスタジオ・アルバム『A Muse In Her Feelings』をリリースした。

世界でも屈指の注目を浴びるDrake 擁するレーベルOVO(October’s Very Own)に所属し、その独特の世界観を表現した作品で大きな評価を得てきた2人組は最新作でどんなサウンド、テーマを表現したのだろうか。Snoh Aalegra, Future, PARTYNEXTDOOR, Jessie Reyez, Summe Walkerと多くのゲストを迎えたことも、今作の特徴と言えるが、GRMDaily では、作品のテーマや、彼らが自身の音楽をどんな風に捉えているかが語られてたので、紹介していこうと思う。

すでに2枚のスタジオ・アルバムをリリースし、今作が3枚目になるよね。dvsnとしてのサウンドは進化したと思う?

Nineteen85 : そういう時間の枠組みでサウンドが変化したとは思わないかな。

前から試みていたことを、今回お披露目した形になるかな。俺たちはずっと全てを細部に至るまでを作り込んできた。ビジュアル、アートワーク、テンポにサウンド。『Sept. 5th』では独特のムードを。『Morning After』では肉体関係や、人間関係を中心に映し出した。けど今回の作品は人生における全ての雰囲気に合うような曲が収録されていると思う。

過去の作品のアートワークは、作品のサウンド、トーンを設定するのに重要な役割を果たしてきたと思うけど、今回のビジュアルも同じように重要視してる?

Daniel : 常にそうだよ。俺たちはビジュアルやアートワークをかなり重視してる。みんなの感覚や、クリエイティビティのバリア、そして境界線を押し広げたいんだ。

最新アルバムにはFutureが参加してるよね。彼との制作はどうだった?

Nineteen85: Futureはドープだったよ。彼はスタジオで完全にリラックスしながら、完全に集中しきってた。音楽が流れてて、みんなでチルしてたら急に立ち上がって「さぁ、録るぞ」って彼が言い出すんだ。それでトラック丸々スピットしてたね(笑)。

あなたの作品はインタールードや、ブレイクダウンが沢山曲中にあるし、インストだけで雰囲気を感じさせる作品があると思うけど、なぜそこに力を入れるの?

Nineteen85 : 俺たちの音楽は誰かの人生におけるサウンドトラックになるんだ。最高のサウンドトラックというのは、最初の時点では気づかないもの。けど思い返して、気付くんだ。「あぁ、この曲、あの時の雰囲気と共鳴してる」って。

普通の人は気づかないような小さなことなんだけどね。けどこの感覚を共有できる人なら、わかるはずさ。全てを「わかりやすく明確」にする必要はないでしょ。

彼は今作が過去2作のような特定の時間・状況に根ざしたアルバムではなく、どんな状況にもフィットする作品だと語る。確かに『Morning After』はそのタイトルからもわかるように「朝焼け」や「薄暗い夜明け」を彷彿とさせるメロウでダウナーなサウンド、そして人間関係をテーマに作品が展開されていたが、今作はその雰囲気をそのまま受け継いでいるわけではない。それどころか今作は「昼間の」明るさすら感じさせる。

「誰かの人生にとってのサウンドトラックになる」「最高のサウンドトラックは最初の時点では気づかず、思い返して、気づく」という言葉は彼らの作品を一度でも聴いたことがあれば伝わってくるだろう。彼らの作品を聴けばどこか懐かしい、ふと昔見た光景や匂いが蘇ってくる。

また彼らはインタビュー内で、Drakeとの関わりや、OVOでの制作についても語ってくれている。

記憶に残っている中で、最も初めにあなたたちに音楽的な影響を与えたのは誰?

Nineteen85 : 『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』だね。脳の中の新たなドアが開いたような気がしたほど。dvsnの曲を聴けば、似たアイデアや、バイブスを感じると思う。

Daniel: 俺もそうだね。あとJustin Timberlakeの『FutureSex / LoveSounds』も。

Drakeとの仕事を何年もこなしてきたと思うけど、なんであなた(Nineteen 85)と彼の相性はあんなにも良いと思う?

Nineteen85: Drakeは俺を「自分とは違う存在」として見ているんだ。彼は自分以外の人から何を得られるかを理解しているから。彼とのコラボレーションからオリジナルなものが生まれるのは、彼が俺から「違う部分」を引き出してるから。彼は常に予想もしていなかったものを求めてる。「なんでこんなのが思いつくんだ」ってみんなが思うやつさ。

2017年、Drakeの“ Hotline Bling ”であなたはグラミー賞にノミネートされたよね。あの作品がどんなものだったか、そしてあなたのキャリアにどんな影響を与えたか聞いてもいい?

Nineteen85 : あの作品は突然思いついたんだ。サンプルをドライブ中に聴いていたら「この曲をFetty Wap の“ My Way ”みたいにアレンジしたら、ヤバいはず」って思ってね。なんでそんな考えになったかは聞かないで(笑)。

それをDrakeに送ったけど、彼から送り返されてきたラップは想像してなかったね。いつもは大体考えを共有しているはずだから。彼のラップを聴いて、本当にびっくりした。スタジオで一聴して、すぐに気づいたよ。「この曲は大変なことになる」とね。

もう一つあなたたちの音楽について気づいたことがある。それはAaliyah の曲のサンプリングが多いこと。彼女はdvsnのサウンドに影響を与えているのかな?

Nineteen85 : ああ、けどより影響を受けたのはTimbalandかな。Timbaland がここ15年でR&B、そしてPopsにまで与えた影響は、俺たちにとっても常に惹かれるものだった。彼がやったこと、彼が作ったサウンド、彼が作った時代、彼はクレイジーだよ。

OVOとサインしてから、Drake は制作にどんな風に関わってるの?

Daniel: 彼は制作には一切関わってないよ。彼ら(OVO)の美学はアーティストに全てを任せることだ。まるで「俺たちがここにいるのは、君たちのファンだからだ!」って感じでさ。だから自分たちのやりたいように、自分の希望が2の次になることなんてないよ。

40(Noah 40 Shebib)からの影響も大きいと思うけど、彼とのアイデア交換はどんな感じ?

Daniel: 彼は信じられないくらい素晴らしいよ。天才なのに一緒に仕事ができる。俺は幸運だよ、彼に出会えて。

Nineteen85: (笑)

Daniel: 40は最高の視野があって、考えすぎて上手く進まない物事に対して、的確にストレートな意見をぶつけてくれる。けど彼はまるで科学者のようなんだ。40と、85が話していると、時々目がくらむよ(笑)。「4デシベル音を下げると、こんなサウンドになる」なんて話をしてるから。彼は俺たちにとってリアル・ビッグ・ブラザーだ。彼は俺たちの目指す場所を理解してるし、それを常に支えてくれる。

Nineteen85: 40は周りのプロデューサーをよりハードワークさせることのできる数少ないプロデューサーの一人だ。40は他のプロデューサーのサウンドをより良いものにできる。ホットなビートを至上最高なものにする力があるんだよ。彼は最高のミックスのレベルを見つけ出す。キックを下げれば、808のためのスペースができるとか、キックを下げた方が他の音により良いスペースを与えるとか。彼の思考は10歩先に行ってるんだ。

OVOは間違いなく権威のある、注目されているレーベルだよね。2020年はどんな風に動いていく?

Daniel: 「注目」というのは、取り入れるタイミングと、受け入れるエネルギーがない時には無視するというタイミングを覚えておく必要があるよね。

誰もが注目されることに囚われると、みんな自分のマインドを壊してしまう。注目を集めるためだけに行動するとね。俺が音楽のコアとして一貫させているのは、俺はみんなと全く同じ人間だってこと。そのコアに忠実にいるんだ。俺たちは「注目」には縛られない。時々、それが嬉しい時もあるよ。けど結局は自分のエネルギーを守ることが重要だ。2018年にその重要性を学んで、2019年に実践したんだ。自分自身に素直でいることが大事だ。

最新アルバム『A Muse In Her Feelings』は、過去作と異なる音色の明るさを持ちながらも、過去作のファンにも納得の仕上がりになっている。それは彼らが「注目」に縛られることなく、自分たちの目標、「誰かの人生にとってのサウンドトラックになる」というその音楽性を貫き続けるからこそだろう。未聴の方は是非チェックして見てほしい。

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