Polo G

Pitchfork

Polo Gが『THE GOAT』で見せる新たな姿
ニューアルバムのテーマ、シカゴを離れた理由を語る

May 14, 2020

イリノイ州シカゴ出身、現在21歳の若手ラッパーPolo G(ポロ・G)はすでに「人気を手に入れる」というフェーズから抜け出している。 

2019年6月にリリースしたデビュー・アルバム『Die a Legend』から先行シングル「Pop Out」は4Xプラチナムを獲得、YouTube では1億9千万回以上再生されるなど、ラップ・シーンで一際存在感を放つラッパーは明日5/15に自信溢れるタイトルを据えたセカンド・アルバム『THE GOAT』をリリースしようとしている。

過酷な経験を味わったシカゴ・ノースサイドのプロジェクトCabrini Green で生まれ育ったラッパーは今作でLAに拠点を移し、成功を手に、新たな姿を見せようとしている。しかし、前作で「フッドを養ってやる」と意気込んでいたラッパーはなぜ、フッドを離れたのだろうか。そして『THE GOAT』ではどんな楽曲を私たちに届けてくれるのだろうか。Complex の2つのインタビュー、地元シカゴのChicago Sun Times のインタビューを抜粋、紹介していこうと思う。

“ 3ヶ月ほどで製作した前作とは打って変わって、今回は『Die A Legend』のリリース時(2019/6)には既に制作に取り掛かっていたよ – Complex

今作は約1年という彼にとっては時間をかけて作り込んだ一作になっているそうだ。彼はそんな短期間で制作した前作で手にした成功と、今作で見せる変化について語る。

“ 新たな経験を説明することにより注力してきたよ。難しいわけじゃないけど、違う方法を取ったんだ。リスナーは俺の違う側面を見るわけさ。 – Complex

“ 俺の最初のプロジェクトで、ファンは俺が誰かを知ってくれたと思う。アーティストとしての自己紹介ってとこかな。けど、俺はチャプター2に進んでる。さらに俺のアーティストとしての成長を届けて、俺がどんな風に進化するかを見せるよ。 – Chicago Sun Times

彼は今の「人気若手ラッパー」の立ち位置に留まることなく進化し続けることを宣言している。新作『THE GOAT』のテーマ、そして楽曲のサウンド、内容はどう仕上がっているのだろうか?

“ 俺の多くの異なる側面が見られるよ。人間関係とかそういったテーマの曲をね。Polo の気持ちや、頭の中がよりわかるような作りになってる。このアルバムがリリースされれば、俺がより多才なアーティストであることに気づいてくれるだろうね。 – Chicago Sun Times

“ 今世界で起きているトピックスについても触れている。けど今回の作品ではより幅広いメッセージを扱ってるよ。コロナ・ウイルスが流行する前の普遍的なことをね。 – Chicago Sun Times

“ 俺はメロディを基軸に作品を完璧なものにしたいんだ。作品を完璧にし、曲を構築し、アルバムとしてまとまった作品にする。作品を完璧にするのが得意なのさ。 – Chicago Sun Times

彼の作品において特徴的なのは、自身や同じシカゴで生まれ育った周囲の人間の痛みを正直にリリックに乗せスピットしていることだ。「音楽が唯一、自分自身、自分の心の内側を表現できるはけ口なんだ」と過去のインタビューで語っているように、その言葉は徹底的に内省から紡ぎ出されている。それは何故なのか?そして、そんな特別な思いを持つ故郷から離れた理由も彼は明かしてる。

“ 間違いなく俺の出身のせいだね。俺は暴力にまみれた街でめちゃくちゃな環境にいた。けど、どんな街でもそれは同じだ。シカゴだけじゃなく、俺たちはみんなそういう経験をしてきてる。だから俺は同じような境遇のすべての人と繋がりたいと思ってるんだ。だからこそストーリーを語ってる。- Complex

ただ街から出たかったんだ。勿論これからもホームタウンを愛しているのには変わりないけど、あそこではトラブルに沢山巻き込まれることを理解してる。特に俺たちのような人にはね。全ての出来事には理由があるはずだから、後悔はしてないよ。 – Chicago Sun Times

前作・今作と彼は「Legend」・「GOAT」という「偉大な存在」を意味するワードをアルバムのタイトルに据えてきた。ラッパーとして身近に起きる過酷なストーリーを伝える彼のモチベーションは「Legend」になることなのだろうか。そして、彼が考える偉大な存在とはどんな人物のことなのだろうか。

(君がラップをするモチベーションはレジェンド(GOAT)になること?それとも、仲間のためにストーリーを伝えること?)

“ どちらもだね。確かに友人の一人が亡くなった出来事は俺がラッパーになろうと思った大事な理由だけど、自分の周りに住む、地元の住民たちが本当に傷ついてきたのを見て、そのストーリーを伝えようと思ったんだ。だからこそ、俺の音楽には人の名前や土地の名前が登場する。そして、やるからには本気で、自分にできるベストを尽くそうと思ってるよ。- Complex

(自分のキャリアを考えた時に、ロールモデルのような存在はいる?勿論、すべての人がそれぞれの道を進むと思うけど、同じようなことを成し遂げたいと思う人はいる?)

“ 達成したことに限ると特定の人はいないけど、マインドセット、気持ちの持ち方に関しては2Pac、Nipsey Hussle が大好きだ。音楽への向き合い方、音楽へのパッションという意味ではLil Wayne が好きだね。- Complex

彼は過去のインタビューで「レジェンド」の定義を「良い人間であること」と語っていた。大スターではなくても、コミュニティにとって、家族にとって、仲間にとってのレジェンドになれる。誰でも身近な人間のレジェンドになれる。彼がラップをし続ける理由は明らかに名声を手にしたいからではなく、同じような境遇を経た人たちにとってのレジェンドになるためだ。

拠点を変化させた彼だが「ストーリーを届け続ける」という目標は変わらない。そのサウンド、テーマにおいて新たな姿を見せる彼のニューアルバム『THE GOAT』は明日リリースだ。

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