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Chicago Sun Times

Polo G が新曲「Wishing For A Hero」で
披露した2Pac のエッセンス

May 17, 2020

イリノイ州・シカゴ出身のラッパーPolo G(ポロ・G)が待望のセカンド・アルバム『THE GOAT』をリリースした。 

Mustard, Mustard, Juice Wrld, NLE Choppa, Lil Baby などがゲストとして参加し、多くの注目曲が収録された今作だが、一際目立つのはアルバムのラストを飾り、BJ The Chicago Kid が参加した一曲「Wishing For A Hero」だろう。

その理由は勿論、この作品が故2Pac の名曲「Changes」とサンプリングを共有していることだ。1986年にリリースされたBruce Hornsby & The Range による「The Way It Is」の印象的なピアノのサウンドはヒップホップ・ファンにとっては馴染み深い。

しかし、Polo G と同郷出身のBJ The Chicago Kid がサンプリング / 引用したのはメロディだけではない。まずは「Wishing For A Hero」のフックのリリックを見てみよう。

“ That’s just (That’s just the way it is)
Some things’ll never (Some things’ll never change, no-no-no-no-no)
Yeah, that’s just the way it is (Way it is)
The way it is (Yeah) – Wishing For A Hero by Polo G ”

フックでBJ はサンプリング元である「The Way It Is」のコーラス部分のリリックを大胆に引用している。2Pac による「Changes」のフックも同じように「The Way It Is」のコーラスを引用しており、BJ が2つの作品に払ったリスペクトが見えてくる。

フック / コーラスだけではなく、作品全体のテーマという意味でも、 Polo G は過去2作品の形式を踏襲している。そのテーマとは主にアメリカにおける警察の暴力、人種差別の問題についてである。

“ You ain’t my color, then you don’t know the struggle of livin’ black
お前たちは俺たちのカラーじゃない。ってことは、黒人として生きることの苦悩を知らない

Cops kill us and we protest, what type of sh-t is that?
警察たちは俺たちを殺し、俺たちは抗議し続ける。こんなクソみたいなことあるか?

Man, if the police shoot at one of my brothers, I’m blickin’ back
なぁ、もし警察が兄弟のうち一人でも撃ち殺したら、俺は涙をこらえるんだ

We hate each other, so we just wanna score and go tit-for-tat ”
俺たちはヘイトしあってる、だから俺たちは仕返しがしたくなるのさ

“ We seventeen, got forty years in that court when we gettin’ cracked
俺たちは17歳で逮捕されて、14年の懲役を宣告され

Stuck in the system, they just watchin’ us fail while they sittin’ back
システムに囚われる、あいつらは踏ん反り返って、俺たちがつまづくのを見てる

The government cuttin’ checks, but can’t cut a n-gga some slack
政府は小切手を切っても、俺たちに自由を与えることはできない

It’s hard to get a job, so we hustle and flip a pack ”
仕事を掴むのが難しいんだ、だから俺たちはハッスルして金を稼ぐのさ

シカゴのCabrini Green というプロジェクトで生まれ育ったPolo が過ごしてきた環境がいかに過酷であったかは彼の作品における重要なテーマの一つである。2Pac も同じように警察の暴力、レイシズムについての根深い問題を曲中で綴っていた。

“ Cops give a damn about a negro
警察は黒人たちに文句をつけ

Pull the trigger, kill a n-gga, he’s a hero
引き金を引くんだ、黒人を殺せばヒーロー扱い

‘Give the crack to the kids, who the hell cares?
子どもたちにコカインが渡ろうと、誰も気にしない

One less hungry mouth on the welfare!’
「これで生活保護を与える口が減ったな!」ってかよ ”

“ I see no changes all I see is racist faces
変化は全く見えない、誰もがレイシストに見える

misplaced hate makes disgrace to races
誤解から生じた憎しみは、人種同士の争いを引き起こす

We under I wonder what it takes to make this
俺たちは何でこんな仕打ちを受けてるんだよ ”

Genius によれば、過去にPolo G はインタビューでヒップホップのシーンを形作ってきた先人への思いを以下のように語っていたと言う。

“ 2Pac はよく聴いていたかな。彼を除けばNas も聴いてたけど。ヒップホップの歴史をきちんと学ぼうと思ってね。俺は自分自身をリリシストであると誇りに思っているから、リアルなリリシストとしての彼らを本当に尊敬してる。- HotNewHipHop

ヒップホップにおけるサンプリング文化は、作品、クリエイターをリスペクトしながら、従来あるものを新しい形に再生する美しいプロセスだが、「Wishing For A Hero」のように作品のテーマ性やリリックも引用するという一見、気づきにくい部分にも、こうした若手アーティストからのリスペクトの姿勢と、サンプリングの美学が垣間見えてくるだろう。

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