Na-Kel Smith Supreme

i-D

Na-Kel Smith が語る成功の定義
スケートと音楽は人を救う

July 20, 2020

Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)、Earl Sweatshirt(アール・スウェットシャツ)擁するLAのコレクティブ Odd Future の一員として知られ、おそらく世界で最も有名なスケートブランド・チームとなったSupreme のライダーでもある Na-Kel Smith(ナケル・スミス)は、Adidas からシグネチャー・シューズをリリースするなどスケート・シーンで多大な影響を及ぼし続ける一方で、さらにその活動の幅を広げ続けている。

2019年1月にアルバム『Twothousand Nakteen』をリリースし、ラッパーとしてデビューを果たしたのも、まさにその一例である。スケーター、そしてデザイナーとして活躍しながら、同年10月にセカンド・アルバム『3000nakteen』をリリースする、その多産っぷりは彼がいかにハードワーカーかを物語っていると言えるだろう。今や若者、そしてスケーターの間ではアイコニックな存在である彼も、他のOdd Future の面々と同じく、好奇心旺盛なLAの少年の一人だった。I-D 、そして Supreme のチーム・メイトの Sage Elsessor の姉妹であるPaloma が参加した対談で彼は、サウス・LAで育った過去、スケートボード、そして音楽というアートがいかに自身に影響を及ぼしてきたか。好きなことを突き詰めて、家族を養うこと。彼にとっての成功の定義。自粛期間に気づいた大事なことと、様々なことを語ってくれたので、引用して紹介していこうと思う。

Paloma : やあ、調子は?

Na-Kel : 良いかんじだ。

Paloma : インタビューを受けてくれて嬉しい。初めて私たちが出会ったときのことを思い出してたんだけどさ。確か10年は経つよね?あの頃の私たちのコミュニティについて覚えてることはある?

Na-Kel : 多くを学んだね。俺はいっつも外出してた。全く家にいたくなかったんだ。外では本当に色々なモノに出会ったよ。良いことも、悪いことも、くだらないこともさ。俺たちはみんな共通の目標があって、やりたいことがあった。

Paloma : 君のことを知らない人のために、どこで、どんな環境で育ったのか教えてくれる?

Na-Kel : サウス・LA出身。ハリウッドとは似ても似つかない場所。でもハリウッドは気軽に行ける場所だった。俺はクソほど遠い場所までスケートしに行ってたからね。街を周遊するバスに乗って、郊外に行って、スケートパークに行ったり、スポットを周り続けてた。みんなもそうだと思うけど、自分の生まれ育った場所にはスケーターはいないものだろ。まさに俺もそうだった。俺が身の回りで唯一のスケーターだった。
俺は常にワイルドだったんだ。子どもの頃は溢れるほどのエネルギーがあった。スケートで物を飛び越えては、大笑いして。マジでWeirdo(変なやつ)だったと思う。スケートボードはそんな俺のエネルギーにまさにピッタリだったんだよ。

Paloma : プロのスケーターになることが目標だったの?

Na-Kel : ああ絶対にね。それが全てだった。他のことはどうでもよかった。

Paloma : その頃の君にとって、スケートをすることにどんな意味があった?

Na-Kel : セラピーだ。

Paloma : 何から解放されたかったんだい?

Na-Kel : 生活だ。目の前に現れる現実や、仲間がそれに対面しているのを見てそう思った。スケートは逃避だった。スケートしてる時は、それ以外のことを考えなくて済むんだ。ポケットにいくら金が入ってるか。とかな。何もかもが関係ない。「その瞬間に何をするか」それだけだから。

Paloma : ここ数年、君は音楽の制作にも取り組んでるよね。音楽が新たなセラピーになったのはいつ頃?

Na-Kel : スケートからプレッシャーを過度に感じ始めた頃。みんなが間違っていることを証明したいし、周りの人が作り上げる箱のようなモノから抜け出したかった。俺は自分のスピリットと自分のアイデアに従う。頭にアイデアが浮かべば、俺は何かが出来ると思うんだ。絶対それを実行する。脚本や演出とか裏方の仕事も本当にやりたいし。本当に色々なアイデアがあるんだ。自分の絵画を描きたいし、自分の曲を作りたいし、自分のダンスを作りたい。自分のやり方でやりたいんだ。自分のアイデアを押し殺したら、結局俺は悲しみや怒りに包まれると思うから。

Paloma : 私たちは自分たちが黒人であることや、家族を養わなければいけない存在であること。世代的にも文化的にも責任を抱えた存在であること。同時に仕事に対して誠実さを持つことについて、深く話し合ってきたよね。それは一般的な「セル・アウト」という意味じゃない。人種によっては、セル・アウトの意味合いは変わってくるんだ。みんなはきっと「家族のためのセル・アウト」を知らないよ。それはとんでもないプレッシャーなんだ。そういう困難に対して、君は透明性を保ったまま、本当に素晴らしい仕事をしてきたと思う。

Na-Kel : 俺は自分を表現して行動してる。そうすれば、みんながその行動に何かを感じて、それぞれの生活に取り込んでくれる。出来る限りのベストを尽くすべきだし、常に人は何かを達成したら、次を見つめ続ける。俺は「成功」という言葉を使わないようにしてるんだ。だって、歳を取るたびに俺は「成功」の意味を定義し直しているから。成功は継続的で、変化するモノなんだ。どこかでみんなも平穏を見つけることができるかもしれない。例えば、どこかのビーチに入り浸る自分こそが成功だと思う人、速い車を手にすること、普通の車かもしれないけど。大きな家とか、そういうのを手にすることを「成功」だと思う人はいると思う。可能性は無限大だ。でも「成功」はどうだ?成功の基準は自分が作るモノだろ。俺はずっと「この時点での成功だと言える」という状態を追い続けているけどさ。でもやっぱり、常にクリエイト(創造)し続けないと。

Paloma : 私の「成功」は「〜まで到達した」みたいな感じじゃないんだ。私の思う「成功」は「自分の能力が足りない」という考えから解放されること。

Na-Kel : 今まさにこの時は、俺の人生で初めて自分の中に閉じこもった時間なんだ。全く新しい考え方を学んだよ。自分自身に全く新しい方法でコミットメントしてる。自分自身の欠点は変えられないから。けど、上手く欠点を回避しようとしてる。自分を導いてくれる物事も、自分を陥らせる物事だって同じように学ぶことができるんだ。

Paloma : よく自己内省をしたりするの?自宅隔離中の一日はどんな風に過ごしてる?

Na-Kel : そうだね。日常的なことだ。朝起きて、シャワーを浴びて、夜の間に作った曲を流す。それが完成してなかったら、完成させるし。そこから外に出て、スケートをしなくちゃならない。スケートをしないと、頭がおかしくなるから。閉所性発熱を起こしちまってさ。その悪循環だよ。

Paloma : この時期はみんな悪循環に陥ってるよね。けど君はその状況に対して、音楽を作ったり、スケートしたり、人と繋がったりしてる。

Na-Kel : それらに集中して、余計なことは考えないようにしてる。音楽は人生の中でも、俺を救ってくれたものの一つかもな。ありえないことや、辛いことが今、俺にたくさん起きているんだ。そんな中で俺は感謝を伝えていきたいと思ってる。この自粛期間から学べることは、どんなことだって「保留」にできるということ。卵を一つのバスケットに無理に詰め込まないとか、物事に対して思い詰めすぎないとかさ。俺もライブやツアーをする予定だった。でも中止になっちまったんだよ!

Paloma : 好きなこと以外をやる時間を設ける必要は必ずしもないってことだね。基本に立ち戻ろう。

Na-Kel : 家族の健康のことばかり考えているから、誰かに奉仕する方法がわからなくなってる。悪いとは思ってるし、助けになる方法を探してるけど、まずは仲間や身の回りの人たちをちゃんと守りたい。

Paloma : 私はそれだけで十分奉仕できていると思うけどね。

Na-Kel : そうかな。まあ俺は努力してるんだ。絶対諦めないからな。

Paloma : 諦めないことだね!君が25歳までに成し遂げてきたことは、普通じゃできないことだ。だからまずはそれを誇りに思うべきだよ。

Na-Kel : 俺が30までに成し遂げることは、もっとデカいことなんだよ!ベイビー!

i-Dによる対談の全文はこちらでチェックできる

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