2011年に結成以来、輝かしい活躍を残してきたニューヨークのコレクティブ Pro Era に所属するラッパー Nyck Caution(ニック・コーション)。ブルックリン・Mill Basinで生まれ育ったラッパーは Pro Era、そして Beast Coast の一員としての活動だけでなく、ソロ活動に力を注いできた。
2013年、自身初のミックステープ『The Pursuit Vol. 1』を、2016年にはデビュー・アルバム『Disguise the Limit』をリリースするなど、着実にその歩みを進めてきた。そんな彼が先日リリースしたのがEP『Open Flame』だ。
「Demons Don’t Take Off From Work」の儚さを感じさせるストリングで幕を開ける一作は、ダークで不穏さを感じさせる一面と、ゴールデン・エイジを思わせるBoom-Bapのテイストを兼ね備えた、まさに「NYらしさ」を内包している。前作『Disguise the Limit』をリリースしてから約4年。最愛の父を亡くすという出来事を経た Nyck が放つ言葉は力強い。
Nyck Caution : このEP全ての主な影響がニューヨークとは言い切れないけど、「Margot Robbie」に関しては、間違いなくそうだ。俺の名前である「Nyck」の由来を聞かれることが多いんだけど、それはまさに「New York City Kid」という言葉から来ているんだ。 今までそれを曲の中で口にしたことがなかったから、「Margot Robbie」を書くとき、「New York City Kid」をチャント(応援歌)として盛り込んだ作品を作りたいと思ってね。それが曲のフックになり、ヴァース全体に盛り込まれている。ニューヨークについては何度も言葉にし始めたね。
ー2016年の『Disguise the Limit』から2020年の『Open Flame』までの間で得た人間として最も重要な学びは何?
『Disguise the Limit』をリリースしたのは、ちょうど父親が亡くなった直後だったんだ。彼もアルバムを聴いてくれていたんだけどさ。でも、その時にはまだ実感が湧かなくて。アルバムがリリースされた後、その事実に直面することになって。それから4年で、俺の音楽に対する考え方は変わった。もっとセリフ(言葉)を無駄にしない曲をもっと作りたくなったんだ。自分の伝えようとしていることを、上手く伝えられるようになってきていると感じていたし、さらに幅広いヴォーカルレンジに挑戦してみたね。
「Demons Don’t Take Off From Work」は曲の終盤に向かって、ハーモニーを少し入れてるよ。「Slipping Away」でも歌を取り入れているし、「More Than I Deserve」では、また違うヴォーカルを使ってる。ビートを聴いた時、どう反応するか。そこで自分自身にリミットをかけないんだ。