JNKMN JNKMN NOW

Album Cover

JNKMN 『JNKMN NOW』
過去を乗り越え、仲間と刻む「今」

MARCH 08 2020

Written by 市川 タツキ

Edited by SUBLYRICS

東京を拠点に活動するヒップホップ・クルー<YENTOWN>の創立メンバー、JNKMNによる1stソロアルバム『JNKMN NOW』が、2月7日にリリースされた。2019年の9月にシングルでMVとともに発表された“ Jailbird ”を含む全15曲で構成された今作は、同じく<YENTOWN>のメンバーであり、同時に近年グループ外でも多くのアーティストにサウンドを提供している、プロデューサー  / ビートメイカーのChaki Zuluが総合監修。客演には、<YENTOWN>のメンバー、kZm、Awichや、ヒップホップユニット<SQUASH SQUAD>のloota、<舐達麻>のBADSAIKUSH、G-PLANTSなど、JNKMNと親交の深いラッパーやビートメイカーたちが多数参加している。

<YENTOWN>のファンにとって待望のリリースとなった初のソロアルバムである今作は、アルバムを通し飛躍していく多彩なサウンドと、聞き取りやすくも、軽やかなライムで日本語を綴るJNKMNの卓越したラップスキルによって、濃密なストーリーを語っていくヒップホップアルバムとして聴きごたえのある一枚になっている。

スモークな日常と塀の中の記憶

『JNKMN NOW』の1曲目を飾るそのタイトルは大胆にも“ JNKMN ”。この曲名と、自分の名前を何度も繰り返すHOOKをはじめ、ハードなビートにのるリリックの節々に、自らのライフスタイルとアッパーなスタンスが表れている。しかし、アッパーで堂々とした言葉とは裏腹に、ある種後ろ向きな言い回しも次第に現れてくる。

なるべくなら涙は少なく

腹決めたらやるしかなく

下向いてても上だけ見てく

後ろ気にして前進んでいく

– ” JNKMN “

この1曲目が代表するように、アルバムの前半では、JNKMNの煙にまみれた日常、アッパーなスタンスが、ハード寄りのラップで語られていくと同時に、その所々で後ろ向きな、何なら悲観的な雰囲気すら感じ取れるような言葉が語られ、不穏の影がちらつく。

現代の日本人にはあまりなじみのないドラッグライフを軽妙なリズムに乗せ綴った8曲目“ TREE ”とそれに続く9曲目“ Smoke Ambassadors ”を経て、JNKMN自身が2017年当時に大麻所持で逮捕された時の経験をもとにした10曲目“ Jailbird ”にたどりつく。刑期を終え、釈放されたJNKMNが感じ取る娑婆の空気、周りの人々への想いが綴られたこの曲により、アルバムは新たな展開を見せている。

その次の曲“ ONE DAY ”は、“ Jailbird ”に続くような悲し気な印象を残すビートにのせて、塀の中にいた時も支えてくれた仲間への想いを切実に綴っている。


ムショに届く連れの手紙

いつまで経っても変わらない

そんなありきたりな言葉に

何度救われる 分からない

俺たち何も変わらない

– ” ONE DAY “

塀の中にいる自分を、以前と変わらないバイブスで待ち続けてくれた<YENTOWN>のメンバーへの素直な気持ちを言葉にし、「なるべくならよくなるほうに」と一歩ずつ前に進みだす。

悲観から楽観へ

夜の闇の中足元を照らし、本当に必要なものへ導いてくれるような、ライトなサウンドの12曲目“ NEED ”と、パワーを取り戻したように「ピースとファックを送り付ける」13曲目“ FEEL ”を経て、アルバムは“ Never Forget ”の飛躍へとたどり着く。透き通ったようなTaeyoungBoyの声と、Chaki Zuluによる楽し気でポジティブな印象を残すサウンドが、それまでのJNKMNが抱えていたネガティブを吹き飛ばす。曲中に出てくる「すべて忘れてしまえばいい」「悲しい話ではないよ」などの楽観的な言葉の数々は、ただの楽観ではなく、それまでの苦しみやネガティブを乗り越えてきたもののたどり着いた場所であるがゆえに、より一層の爽快感と高揚感がある。

そしてアルバムのラストを飾る15曲目“ ASOBO ”は、過ぎ去っていく今をかみしめつつ、開かれた未来を感じさせるような一曲だ。前半の煙たさが徐々に晴れ渡っていくような後半の最後を飾る“ ASOBO ”のサウンドは、歌詞の開かれた内容も相まって、より一層見晴らしのいいものに聞こえる。

過去は消えていく 波のように

数え切れない 慣れてく痛み

仲間たちと 向かっていく光

流れるまま 開けていく未来

– ” ASOBO “

過去の痛みも受け入れつつ、仲間たちとの開けた未来のほうに目をやっている、アルバムを通して立ち直ったJNKMNの今のスタンスと解放感が感じられる曲になっている。

JNKMNの今

このように、このアルバムは一枚を通して聴くとJNKMN自身のエピソードや感情と重なるような、ストーリー性が感じられる作りになっている。特に、悲観的な要素を持つ前半から、悲しみと希望の“ Jailbird ”と“ ONE DAY ”を経て、楽観的で希望に満ちたクライマックスにたどり着いていく様はある種ドラマチックですらある。過去を乗り越え、開かれた未来への期待であふれているJNKMNの現在(=“ JNKMN NOW ”)へ向かっていくアルバムの構成によって、ヒップホップアルバムらしい濃密な物語性を生み出していることは明確だ。

それでいて、Chaki Zulu、U-LEE、GREEN ASSASSIN DOLLARなどをはじめとする多彩なビートメイカーたちによる、ハードであったりGファンク調であったりするビートから、メロディアスで流れるような軽妙なサウンドまで、アルバムを通し、様々に変化していく「音」の気持ちよさも兼ね備える。

ストーリーを語りつつリスナーの耳を楽しませることを忘れない音楽的な豊かさと、シンプルでありつつ濃密な物語性を与える曲構成の中に“ JNKMNの今 ”を刻む今作。まさにヒップホップファンにとって必聴の一枚といえるだろう。

『JNKMN NOW』- JNKMN

東京を中心に活動するヒップホップ・クルー〈YENTOWN〉の創立者にして中心人物であるJNKMNが、1stソロ・アルバム『JNKMN NOW』を2月7日(金)にリリース。総合監修はChaki Zuluが担当。加えて、WATAPACHI、DIGITABLE、DJ JAM、U-LEE、GREEN ASSASSIN DOLLAR、LostFace、NABEWALKSといった複数のビート・メイカーが参加。多彩なサウンドを展開している。

WRITER : 市川 タツキ
Instagram: @tatsuki_99

幼い頃から、映画をはじめとする映像作品に関心を深めながら、高校時代に、音楽全般にも興味を持ち始め、特にヒップホップ音楽全般を聞くようになる。現在都内の大学に通いつつ、映画全般、ヒップホップカルチャー全般やブラックミュージックを熱心に追い続けている。

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